こどもNISAは「親ガチャ」格差を拡大する?
ジュニアNISAが利用されなかった最大の理由は、「そもそも、こどものために毎年80万円も積み立てる余裕がない」ということに尽きるのではないでしょうか。もちろん満額積み立てる必要はないわけですが、それでもこどものためにつみたて投資をするほどの余裕のある家計ばかりではないということは、昨今のインフレへの不満の大きさを見ても明らかであるように思われます。
ということは、こどもNISAが解禁されたとしても、それを利用できるのはある程度余裕のある家庭に限られることになります。インデックス投資信託によるつみたて投資の複利効果は絶大ですから、一部の人がいうような、「こどもNISAがさらなる格差の拡大・格差の固定につながる」という批判はあながち間違いともいえないでしょう。
インデックス投資信託のリターンが7%の場合、毎年60万円ずつ積み立てれば18年後には平均して約1300万円の残高になることが期待できます(10年間毎年60万円を積み立て、上限到達後そのまま8年間運用する想定)。こどもNISAを利用できない家庭では、こどもが社会に出るタイミングで1000万円超のハンデを背負ってしまう可能性が高いといえるわけです。
もちろん、そういった意味では通常のNISAでも格差拡大につながるわけですが、自分になんの責任もないこどもが、親の経済状態だけでこれだけのハンデを背負わされてしまうのは、まさに「親ガチャ」であり、より不公平感が強いことは否めないでしょう。
「豊かになりたかったらNISAやればいいのに」というのは「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」というマリー・アントワネットの有名なフレーズと同じです(実際は創作だそうですが)。