高市内閣の肝入り「日本版DOGE」が年末調整でおなじみの「生命保険控除」に切り込むべき理由とは(写真:つのだよしお/アフロ)
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(我妻 佳祐:ミニマル金融研究所代表)

 12月2日に、高市内閣肝煎りの組織である「日本版DOGE」の初めての会議が開催されました。

 そもそものDOGEとは、第二次トランプ政権で、実業家のイーロン・マスクが責任者として立ち上げた「Department of Government Efficiency」(政府効率化省)」の略称です。イーロン・マスクが大胆に政府機関をスクラップし、職員を大量に解雇したために米国のみならず世界が混乱することになったのは記憶に新しいところです。

 イーロン・マスク自体は2025年の5月末に退任し、DOGEは11月末に解体されたという状況のようです。あくまでも組織が解体されただけで、その機能はトランプ政権の各所に受け継がれているということのようですが、DOGEが実行したことが正しかったのか間違いだったのかは、これから歴史の審判を受けていくことになるのでしょう。

 さて、「本家DOGE」の解体後に日本版DOGEが立ち上がったわけですが、その正式名称は「租税特別措置・補助金見直し担当室」といいます。その名前を見る限り、本家のように政府機関を廃止し職員をバッサバッサと切っていくような組織ではなく、特別な減税制度(租税特別措置)や補助金の見直しをしていくことを目指しているようです。

 第一印象としては、それらの見直しは常日頃から財務省が膨大なエネルギーをつぎ込んで実施していることであり、屋上屋を架したにすぎないのではないかという気がします。もちろん、そうならないように政治のリーダーシップを発揮して、財務省ではできないような見直しをしていくのだという決意の表れではあるでしょう。

 さて、そんな日本版DOGEにぜひ精査してもらいたい税制があります。それが「生命保険料控除」です。