損害保険料控除はむしろ足りない
さて、それでは損害保険の方はどうなっているでしょうか?
損害保険料控除は、現在では、地震保険料が所得税で最大5万円まで、住民税で2.5万円まで所得から控除されます。これだけです。
2007年に地震保険料控除が導入される代わりに、それまであった火災保険や自動車保険、傷害保険等への損害保険料控除がなくなりました。
地震保険料控除の必要性は極めて高いでしょう。地震大国である日本では、民間の損保会社では地震リスクを引き受けきれません。地震による被害には、国と連携して通常の火災保険とは別に保険料を払ってもらう必要がありますが、地震保険の付帯率は70%程度と、もう一声といったところです*1。
*1:https://www.giroj.or.jp/databank/earthquake.html
こうした、社会的に加入を推進したい保険商品に対して減税を活用するというのは非常に合理的です。
また、かつて保険料控除の対象であった火災保険や自動車保険、一部の傷害保険も、必需品としての性質は非常に強いでしょう。
先日、タレントの林家ペー・パー子夫妻の自宅マンションが火事になり、しかも火災保険に入っていなかったというニュースがありました。本件はご自身が著名人であり、リッチな知人も多かったこともあり、そうした方々からの援助で生活を回復されたようですが、そうではない一般家庭でもし、無保険の状態で持ち家が火災に遭えば、その後路頭に迷うしかなくなってしまいます。
当然、自動車保険の任意保険も自動車を運転する以上は必ず加入すべきものです。
対人・対物の自動車保険の加入率はいずれも75%程度です*2。高いといえば高いですが、仮に自動車事故に巻き込まれたときに、4分の1の確率で相手が任意保険に入ってないということですから、必要な補償を自賠責だけでは賄いきれない可能性が出てきます。
*2:https://www.sonpo.or.jp/report/statistics/syumoku/ctuevu0000004shr-att/kanyu_jidosha_ken.pdf
これらの損害保険は、素直に考えれば学資保険や入院保険、定額個人年金などよりはるかに加入を推進する必要性が高いはずです。そのための施策が減税である必要は無いにしても、保険料控除の優先順位としては生命保険料控除の対象商品よりも高いことは間違いありません。