生命保険料控除はほんとうに必要か?
生命保険料控除とは、年間支払った生命保険の保険料が、一定額までその年の所得から控除されるという仕組みです。
具体的には、所得税の場合は一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料がそれぞれ4万円まで、合計額は最大で12万円が所得から控除されます。住民税の場合はそれぞれ2.8万円まで、合計額は最大で7万円までが所得から控除されます(現行制度の場合、旧制度については割愛)。
生命保険料控除をフルに使えば、所得税率が20%、住民税率が10%の人であれば、所得税で2.4万円、住民税で0.7万円、合計で3.1万円、税金が安くなります。
会社員であれば経験があると思いますが、これは年末調整(自営業の場合は確定申告)で申告すると返ってきますので、一昔前は「奥さんにバレない収入」として年末年始のサラリーマンのふところを温めてきました。今では共働きで夫婦独立会計も普通になっているので、そこまでありがたみもないかもしれませんが。
なお、2025年(2026年に納める所得税分)に限り、23歳未満の扶養親族がいる場合は、一般生命保険料控除の上限が6万円と、2万円アップしています。
控除の上限は12万円から変わらないのでフルに使った場合の税金の還付額は変わりませんが、(私のように)「生命保険は必要だけど医療保険と個人年金はいらないなあ」という人は、新たに生命保険に加入すると、その分の保険料がさらに2万円まで所得控除の対象になり、税金が還付されることになります。
これは子育て世帯にはより手厚い保障が必要ということで、2025年の1年に限り措置されたものですが、生命保険業界は、この恒久化を要望しているところです。
さて、生命保険料控除は減税措置ですから、「ほんとうにこんな減税措置が必要なのか?」ということは日本版DOGEの検討対象になりうるでしょう。なお、日本版DOGEは「租税特別措置」と補助金が対象のようで、租税特別措置法ではなく所得税法で規定されている生保控除は検討の対象外という理屈も一応成り立つ気はしますが、とりあえずはそのような形式的としか言いようのない切り分け方はしないのではないか、という前提で考えてみます。