格差の拡大・固定につなげないために
さて、ここからは空想のような話ですが、こどもNISAを格差拡大・格差固定につなげないための1つのアイディアを提示してみたいと思います。
それは、「新生児に、既に600万円が積み立てられたこどもNISA口座を付与する」というものです。
600万円をリターン7%で18年間運用すれば約2000万円になるので、産まれたこどもが18歳になり、大学に行ったり社会に出たりするタイミングで2000万円をもって大人としての人生のスタートを切ることができるわけです。これであれば、格差の拡大や格差の固定にはつながりません。
もちろん即座に、「財源はどうするのか?」という指摘が入ることでしょう。そこで、どのくらいの財源が必要なのかをざっくり計算してみます。
2024年の出生数は、68万6061人でした。仮にこの全員に600万円ずつ給付したとすると、必要な金額は約4.1兆円です。今後も出生数はしばらく減少が続くと思われるため、毎年4兆円程度の恒久財源があれば実施可能な政策ということになります。
これはもちろん莫大な金額であり、簡単に捻出できるようなものではありません。一方、例えば国民民主党が主張していた「基礎控除の引き上げ」を仮に満額実施できていたと仮定すれば約7兆円の恒久財源が必要となるのに比べれば、だいぶリーズナブルな金額ともいえます。

個人的には、減税で薄く広くばらまくくらいなら新生児に集中して投下した方がよほど生きた金の使い方になると思いますし、親としても学費の心配をしなくても済むということであれば、家計への恩恵も十分に感じられるでしょう。
10万~20万円の減税が仮に実現しても生活の不安を取り除くことはできませんが、学費の不安がなくなるというのは心理的には相当なストレス軽減になりそうです。