バスケットボールも1992年から五輪の正式競技になったが、この年から世界最高峰のプロリーグであるNBAが「スター軍団」を五輪に派遣し、大いに盛り上がった。アメリカのプロ団体の姿勢の違いが、両競技の五輪でのステイタスを決めたと言ってよい。
「IBAFワールドカップ」は1998年からプロ選手の参加を認めた。しかし開催時期は9~11月。MLBやNPBのポストシーズンと重なるため、プロ選手の参加は難しかった。
ついにWBC開催へ
転機は2006年にやってきた。
MLBのバド・セリグコミッショナー(当時)はWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)を開催したのだ。主催はMLBとMLB選手会が設立したWBCI(ワールド・ベースボール・クラシック・インク)だ。
MLBのペナントレースに配慮してシーズン前の3月に開催される。MLB直々の大会だけに、WBCにはMLB選手も出場することとなった。
WBCが始まると「IBAFワールドカップ」の存在意義は色あせた。IBAFは、以後も2007年、09年、11年とワールドカップを開催したが、オリンピック競技から外れたことからIOC(国際オリンピック連盟)からの補助金がなくなり、開催費用が高騰してIBAFそのものが財政難に陥った。
そこでMLBが支援に乗り出し、IBAFと国際ソフトボール連盟が合併してWBSC(世界野球ソフトボール連盟)が設立される。
同時に野球ワールドカップは廃止され、トップレベルの野球の世界大会はWBCに一本化された。
こういう形で、WBCは野球世界一を決める大会になったが、その運営はなおも紆余曲折があった。