2006年3月、第1回WBCで優勝を達成し、笑顔で会見に臨む日本代表チームの王貞治監督(左)とMVPの松坂大輔=ペトコ・パーク(写真:共同通信社)
スポーツの世界大会と言えば、近代オリンピックが頭に浮かぶ。トップ選手が集い、多種目の競技を行う世界最大のスポーツ大会だ。1896年に教育学者クーベルタンの提唱で始まった。第1回大会はギリシャのアテネで開催された。当初はアマチュア選手の大会だったが、現在では多くの競技でプロ選手の出場が認められている。
競技単位の大会では、サッカーのワールドカップが1930年に始まった。
野球の世界大会は、1938年に国際野球連盟(IBAF)が主催する「IBAFワールドシリーズ」が始まったが、アマチュア選手の大会であり、実力、規模ともに圧倒的なMLBの選手は出場しなかった。
プロ選手の出場が難しかった「野球世界一」を決める国際大会
野球ではMLBは、最終の勝者を決める大会を「ワールドシリーズ」と呼称している。野球界ではこの競技が始まったアメリカこそが「世界の中心」であり、MLBの勝者が世界一だ、という強い自負があったのだ。
野球の世界大会は「アマチュアワールドシリーズ」として行われてきたが、1988年には「IBAFワールドカップ」となった。2年に1回開催されるこの大会ではキューバ、ニカラグア、ベネズエラなど中米諸国が強かった。
キューバは1959年のキューバ革命で実権を握ったフィデル・カストロ議長が大の野球好きで、国内リーグ(CNS)を全面的に支援し、選手は国家公務員として生活を保障された。それもあって、キューバはアマ球界では最強チームだった。
オリンピックでは、野球は正式の競技ではない「公開競技」として7回開催されたが、1992年のバルセロナ五輪から正式競技となった。しかし2008年の北京五輪を最後に、正式競技から外れた。アメリカ大陸と東アジアでしか盛んではなく、世界的に行われている競技ではないというのが理由だったが、世界最強のMLBが選手を派遣せず、競技そのものが盛り上がりに欠けたことも大きかった。
その後、東京、ロサンゼルスと、野球が盛んな国が開催国になったオリンピックだけでスポット的に正式競技になっている。
