推論特化・複雑な論文の解釈も可能な「GPT-5.1(Thinking)」
【GPT-5.1(Thinking):校正確認・校閲担当者】
次にGPT-5.1だ。
まずGPT-5.1の「Thinking」モードは推論(思考)に特化し、文章の構成や論理的矛盾を把握したり、プロットの穴を指摘・修正したりする能力を持つ。また複雑なタスクでも、明確な説明と少ない専門用語で応答し、難解な技術文書や契約書の解釈も可能だ。複雑な論文やリサーチ原稿のロジック確認、技術解説記事の平易な書き下ろしなどに使えるだろう。
いまここに、1本の論文(2023年にStack Exchangeというユーザー参加型のQ&Aサイトで発生した、600人以上のボランティア・モデレーターによるストライキ事件の経緯を分析したもの)がある。
PDFだと27ページ、まずまずのボリュームがあり、論理展開を追うだけでも大変だ。そこでGPT-5.1 Thinkingに「この論文について、どのような主張が、どのようなロジックで展開されているかを説明して下さい」と指示し、さらに出力された結果を「この事件を初めて耳にする人でも分かるように、補足説明を付けながら、日本語で300字前後にリライトして」と指示したところ、次のような結果が得られた。
この論文は、2023年のStack Exchangeストライキを、二つの要因が重なった結果と説明する。第一に、本来「ユーザーとともに運営する」場だったのに、会社が一方的に仕様やルールを変え、説明も乏しかったため、モデレーターの信頼と愛着が長年、少しずつ削られていた。
第二に、生成AIの登場で誤ったAI回答が増えたのに、会社がAI回答の削除を制限し、さらにデータ公開の停止や商業利用の強化を進めたことで、「自分たちの無償の貢献が軽く扱われている」という怒りが一気に噴き出した。つまりストライキはAI嫌いではなく、聞き入れられない声と積み重なった不信の末の最後の手段だと結論づける。
論文は、同様の対立を避けるには、プラットフォーム運営者がコミュニティに実質的な発言権を与え、重要な方針変更を一方的に決めない参加型ガバナンスが必要だと提言している。
長い文章の論理展開も、GPT-5.1 Thinkingであれば瞬時に把握し、簡潔な形で整理してくれる。単なるリサーチだけでなく、得られた情報を理解する過程において、さまざまな形でサポートしてくれる存在になるだろう。