スイス企業、1キログラムの金塊と金のロレックス卓上時計をトランプ氏に進呈

 トランプ外交は「関税・規制」「投資・不動産」「暗号資産・AI(人工知能)半導体」「国内政治」という4つの軸から見ると分かりやすい。第1の軸は関税と規制を梃子にした圧力だ。本来、産業保護や交渉カードとして用いられる関税は脅し→譲歩→報酬という構造を持つ。

 ベトナムは46%の追加関税を迫られ、のちに20%に引き下げられた。同時期、トランプ氏が率いる約500社のグループ「トランプ・オーガニゼーション」はベトナム北部で約15億ドル規模のゴルフ場・ホテル・住宅開発計画の承認を受けている。

 スイスは39%の関税を課せられ、その後15%に引き下げられた。ロレックスや貴金属大手「MKS」の経営者を含むスイス代表団が「45」「47」(トランプ氏は45代、47代米大統領)の数字が刻印された1キログラムの金塊と金のロレックス卓上時計をトランプ氏に贈呈した。

 第2の軸はトランプ氏個人の不動産ビジネスが通商圧力と奇妙なほど並行して動く点だ。アラブ首長国連邦(UAE)でトランプ・タワー計画が進む中、米国はUAEに最先端AI半導体輸出を承認した。ベトナムやスイスでも圧力とトランプ氏の商業利益が同じ時間軸で動いた。