12月4日、インドを訪問したプーチン大統領を出迎えたモディ首相。インドが用意した車に2人で乗り込み、プーチン大統領が降り立った空軍基地を後にした(写真:Grigory Sysoyev/TASS via ZUMA Press/共同通信イメージズ)

ロシア孤立の物語を崩したデリーの抱擁

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[ロンドン発]12月4日夜、4年ぶりにインドを訪れたウラジーミル・プーチン露大統領は、デリーの空港滑走路で待っていたナレンドラ・モディ首相と抱擁し、固い握手を交わした。その象徴的な光景は米欧が思い描く「ロシア孤立」とは別の現実を世界に示した。

12月4日、インドのパラム空軍基地に到着したロシアのプーチン大統領を抱擁するモディ首相(写真:Grigory Sysoyev/TASS via ZUMA Press/共同通信イメージズ)

 共同記者会見でプーチンは「インドに対して途切れることのないエネルギー供給を続ける用意がある」と明言。「印露貿易の90%が自国通貨建てで決済されている」とドル離れを強調してみせた。

 トランプ米政権はインドがロシア産原油の輸入を増やし、プーチンのウクライナ戦争に資金を供給していると関税圧力をかける。プーチンのインド訪問に先駆け、駐印の仏独大使、英高等弁務官は地元紙に「ロシアはウクライナ和平に本気とは思えない」と寄稿した。

 首脳会談の議題にはS-400地対空ミサイルの追加供給やSu-30MKI戦闘機の近代化、第5世代ステルス戦闘機Su-57の導入協議に加え、宇宙・ハイテク協力も含まれると事前に報じられたが、“大型の武器ディール”は発表されなかった。

 代わりに造船、民生用原子力、重要鉱物など経済協力重視の覚書が並んだ。