インド軍に残る旧ソ連の遺産

 インドは近年も世界有数の最大級の武器輸入国(ウクライナが最大の輸入国)であり、ロシアにとって最大の武器輸出市場だ。インドが初めてソ連製兵器を調達したのは1950年代後半。米国がパキスタンに武器を供与したことからインドはソ連依存を深めざるを得なかった。

 2010~14年にはインドの武器輸入の72%をロシアが占めていたが、15~19年には55%、20~24年には36〜38%にまで縮小。インドがフランスや米国からの調達を増やし、自国生産を拡大することで対露依存を引き下げた結果だ。

 しかしインド空軍飛行隊の多数がロシア製戦闘機で編成され、装甲車両、砲兵システム、潜水艦、対空防衛の多くにロシア製、ロシアの技術が使われている。今回、地対空ミサイルS-500導入やSu-57の共同生産・導入が協議されていると報じられている。

 トランプ政権はインドがロシア産原油の最大級の顧客であり続けていることに対し「ロシアの戦争マシンに燃料を供給している」「ウクライナ戦争はモディの戦争」と批判してきた。インド産品への相互関税25%に加え、ロシア産原油輸入に関連付けた25%の追加関税を発動した。