織田信長が天下統一への第一歩を踏み出した清州城(写真:nsd/イメージマート)
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 2026年のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』がいよいよスタートした。主人公は仲野太賀演じる豊臣秀長で、天下人となる豊臣秀吉(演:池松壮亮)の弟である。秀吉の右腕として、秀長はどのように兄を支えたのだろうか。第3回「決戦前夜」では、故郷の中村をあとにした秀吉と秀長が織田信長の城下町・清須にたどり着く。そんな中、尾張には今川の大軍が押し寄せようとしていた──。今回放送の見どころについて、『戦国最高のNo.2 豊臣秀長の人生と絆』の著者・真山知幸氏が解説する。(JBpress編集部)

前半生が謎に包まれている「豊臣兄弟」

 のちに天下人となる豊臣秀吉が、自分の弟の存在について初めて触れたのは、織田信長のもとで藤吉郎(のちの豊臣秀吉、以下「秀吉」とする)が播磨攻略を進めていたときのこと。

 小寺孝高(こでら よしたか)、のちの黒田孝高、つまり黒田官兵衛に「弟の小一郎と同じように信頼している」と秀吉が手紙を書いている。

 この小一郎が、のちの豊臣秀長である(以下「秀長」とする)。この時点で秀長は38歳前後であり、それまでの足どりについては分かっていないことが多い。秀吉についても28歳までの人生は謎に包まれており、兄弟そろって幼少期や青年期は伝承的な逸話でのみ伝えられている。

 これでは2人の生涯を描くのにも苦労しそうだが、『豊臣兄弟!』はそんな怪しげな伝承をうまく物語に組み込んでいる。第1回の放送では、どこまで本当かどうか分からない秀吉の生い立ちを、嘘とハッタリが多いキャラの秀吉自身が語るという形で披露している。

 今回の放送では、秀吉が信長のもとで出世のきっかけをつかんだことで有名な、草履のエピソードが取り上げられることになった。信長が出かけようとしたところ、秀吉が懐(ふところ)から草履を出して「温めておきました」と言い、信長を感心させるという逸話だ。