大型ウォッチブームの象徴的存在

時計ブームとなった2000年代。それは大型ウォッチ人気が高まってきた時期と重なる。それまで直径38mmが大きい時計と言われていたのが、いきなり40mm台半ばの腕時計が台頭してきたのである。そしてその時代、大型ウォッチブームの象徴的存在となったのがパネライだった。

パネライは時計製造を開始して以降、その納入先を海軍に限定して軍用として高い評価を受けてきたのだが、1993年に民間市場へと参入した。その数年後にはパネライウォッチは大変な人気となり、大型時計=パネライと認識されるようになった。

その後は、デザインの完成度、実用性、さらには自社製ムーブメントの開発などもあって、パネライは時計界においてトップブランドの地位を確立していく。ただ、2000年代の強烈な印象が人々の頭にあるからか、ミリタリー、大型時計というイメージが先行し、スポーツウォッチのパネライという印象は拭えないでいた。

しかし2016年、そんな大型で、ミリタリー色の強いパネライに新しい流れが出てきた。38mmという40mmを切るケースサイズの『ルミノール ドゥエ』が登場したのである。しかも、ケース厚は薄く、よりスタイリッシュにと、新たなカラーリングの展開や、サンレイ仕上げのモデルがラインナップされていた。

そんな『ルミノール ドゥエ』は、1950年代に製作された『ルミノール1950』にインスピレーションを得てつくられたモデルで、丸いエッジとポリッシュ仕上げの滑らかなラウンドベゼルが印象的。パネライの中でもスタイリッシュな1本といえる。腕からはみ出さないサイズのウォッチなら、スーツスタイルにも違和感なく馴染む。そもそもシンプルなデザインの文字盤とクッションケースの相性は良く、腕にハマりさえすればドレスウォッチに引けを取らないエレガンスを持ち合わせている。

※ルミノール1950ケースのPAM00312はすでに製造・販売を終了している

パネライ『ルミノール ドゥエ』 自動巻き(Cal.900)、ステンレススティールケース、38mm径 110万円

バリエーションとして42mmモデルもあるが、こちらも薄型なのでしっかりと腕元にフィットし、装着感が良く、カジュアルウエアはもちろんスーツスタイルにも違和感なく馴染むのである。

1935年に誕生した『ラジオミール』

また、スタイリッシュといえば、パネライ最初のコレクションである『ラジオミール』を忘れてはならない。柔らかなクッションケースにワイヤーラグ、そして大型のリューズ、独特のアラビア数字。素晴らしいデザインである。パネライウォッチが素敵なのは、1935年に誕生したモデルが『ラジオミール』がだったからに他ならない。

現在、この『ラジオミール』は幅広いサイズを展開しているが、小さめだと40mmサイズのモデルがある。わかりやすのは『ラジオミール クアランタ』。クアランタはイタリア語で40のことだ。このサイズの『ラジオミール』はミリタリー感が薄く、スーツスタイルなどにはパネライモデルの中で1番フィットするのではないかと思われる。

パネライ『ラジオミール』 これは“クアランタ”ではないが、通常のラジオミールにも40mmサイズのモデルは存在する。 自動巻き(Cal.900)、ステンレススティールケース、40mm径 96万8000円

パネライの腕時計は一目でそれとわかる独自の”顔”を持っている。はじめて見たときから格好いい腕時計だとは思っていたが、日本人にはやや大きく感じたので、勝手にスポーティなスタイル限定だと考えていた。しかし、2016年の『ルミノール ドゥエ』、そして、2023年の『ラジオミール クアランタ』の登場により、スーツやジャケットスタイルにも最適な腕時計なんだとあらためて確信することができた。

つまり時計界において、パネライの『ラジオミール』と『ルミノール ドゥエ』はスポーティ・エレガンスの代表格のような存在といえる。タウンユースとして注目したい。