小川氏再選の背景とは(写真:共同通信社)
既婚の市役所男性幹部と「ラブホテルで密会」し、辞任していた前橋市長の小川晶氏。2026年1月12日の出直し選挙で再選を果たした。報道によると投票率は前回の市長選より約8ポイントも上がり、自民党が支援した丸山彬氏(無所属)に約1万票の差をつけ「圧勝」した。政治学者で地方政治が専門の河村和徳氏(拓殖大学政経学部教授)は「今回の選挙で明らかになったのは、地方組織としての自民党のリクルートメント能力の低下だ。総選挙で負けるようなことがあれば、地方の不満が爆発する可能性もある」と分析する。
(湯浅大輝:フリージャーナリスト)
前橋市民は「それでもやっぱり自民はイヤ」だった
──スキャンダルで辞任していた小川晶氏が前橋市長選で再選しました。群馬県は「保守王国」として知られる中、群馬県の山本一太知事や市議会の自民党系2会派が支援した有力対抗馬の丸山彬氏に約1万票の大差をつけて勝利したわけですが、この結果をどう分析しますか。
河村和徳氏(以下、敬称略):「それでも自民党は嫌だ」という無党派・現役世代が一定数存在し、消去法で小川氏に票を投じたことで小川氏が再選したと分析しています。
なぜ「それでも自民党は嫌だ」という民意が顕在化したのか。私はここに、自民党の組織としての劣化を感じます。具体的には、地方における「候補者のリクルートメント能力」が低下しています。
小川氏は元々、2024年2月の市長選において「年功序列・男性社会」の牙城だった自民党率いる保守王国に風穴を開けて欲しいという前橋市民の期待を受けて当選しました。弁護士や県議としての経験、女性政治家として「古くて風通しの悪い前橋市」を変えて欲しいという市民が一定数いたのでしょう。
群馬県は地方といっても、県庁所在地である前橋市には、無党派で都市感覚のある現役世代がたくさんいます。自民党が党としても高齢化が進む中、小川氏は「現役で税金をきちんと払い、苦しい中で子どもも育ている人たち」の支持を受け、ガラスの天井を突き破ったのでしょう。
河村 和徳 拓殖大学政経学部教授 1971年、静岡県生まれ。慶応義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。専門は政治学。東北大学大学院准教授などを経て2025年4月から現職。『電子投票と日本の選挙ガバナンス』(慶応義塾大学出版会)など著書多数。
そうした中で、2025年9月に市役所幹部職員とラブホテルに通うという週刊誌報道が出ました。この後、群馬県の山本知事は自身のブログを通して小川氏への批判を強めていきます。付け加えますと、山本知事は「ザ・自民党」と呼べるほど、安倍晋三元首相とも距離が近い人でした。
山本知事はじめ、前橋市議会の自民党系会派は、これまで政治経験がなく、40代の弁護士・丸山彬氏を対抗馬として支援しました。私は、小川氏への対抗馬として、丸山氏を支援したことそのものに、地方組織としての自民党の組織力の低下を見ます。
──どういうことでしょう。
