かつての自民党なら「キャリア官僚の女性」を擁立していた
河村:丸山氏には申し訳ないのですが、彼は特段政策通というふうにも見受けられませんし、そもそも政治経験がない。小川氏が子育て世帯、しかも無党派の現役世代の支持を広く集めていたことは自民党も知っていたはずなのに、そこから票を奪うような候補者として、丸山氏はインパクトが弱い人選でした。
「保守王国黄金期」の自民党であれば、たとえばキャリア官僚の女性、しかも小川氏と年齢の近い人を擁立していたかもしれません。有能で清廉潔白、しかも女性という、今回の小川氏のスキャンダルに対して、よりダメージを与えられるような候補者ですね。
「前橋市の皆さま。自民党は年功序列・高齢者優遇路線をあらためます。もっと現役世代の皆さまの意見を市政に反映していきます!」などと、現役世代が自民党に抱いている悪感情を払拭できれば、当選したかもしれません。
群馬県にかぎらず、山形県でも同様の現象が見られますが、自民党の地方県連における候補者のリクルートメント能力が著しく劣化しています。地方の保守王国が保守王国たり得たのは、自民党の中で中央と地方に睨みを効かせられる有力国会議員と地方議員の選挙互助的なネットワークである「系列」が機能し、然るべき候補者を選挙のたびに立てることができ、支えることができたからです。
自身のブログで小川氏を批判していた群馬県知事の山本一太氏(写真:共同通信社)
衆院選の小選挙区では自民党の候補が圧勝するのに、知事選や市長選では勝てないという不思議な現象は、ひとえにこの「リクルートメント能力の弱体化」という理由で説明できます。
──「保守王国」は実際には名ばかりになっている可能性もあると。