ENEOSホールディングス 常務執行役員CHRO 秘書部・人事部・広報部 管掌の布野敦子氏(撮影:榊水麗)

 ENEOSグループが人事制度改革を次の段階へと進めている。世界的な脱炭素の潮流や国内需要の縮小を背景に、同社は2022年、管理職層にジョブ型人事制度という「劇薬」を導入した。運用から3年半がたち、現場の納得感や人材配置のスピードといった課題と向き合いながら、「ジョブ型人事制度2.0」へと進化を図る。制度改定の狙いと現在地を、常務執行役員 CHRO(最高人事責任者)の布野敦子氏に聞いた。

年功序列打破へ──管理職に「ジョブ型」を導入した背景

──ENEOSでは、2022年に管理職を対象とした「ジョブ型人事制度」を導入しました。抜本的な人事制度改革に踏み切った背景には何があったのでしょうか。

布野敦子氏(以下、敬称略) 最大の要因は、当社を取り巻く事業環境の激変です。

 2017年ごろまでは「低炭素社会」を努力目標とする考え方、つまり省エネや効率化によってCO2の排出量を“可能な限り”減らすことが世界の主流でした。ところがその後、脱炭素の流れが急速に強まり、2020年10月には政府が「2050年カーボンニュートラル宣言」()を打ち出しました。CO2の排出量をできるだけ減らすだけでなく「実質ゼロ」にする──エネルギー産業を取り巻くルールが根本から変わったのです。

※温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする目標

 そして足元では、国内の石油製品需要も、人口減少や自動車の燃費改善などの影響を受け年率約2%ずつ減少しています。

 私たちENEOSグループは、エネルギーと素材の安定供給を通じて社会を支えるという使命を持っています。一方で、既存の石油精製販売事業だけに頼っていては未来の社会要請には応えられません。基盤事業でキャッシュを生み出しつつ、再生可能エネルギーやバイオマスといった新しい収益の柱を早急に育てなければなりません。