関西電力送配電の白銀隆之社長写真提供:共同通信社
「脱炭素化」「安定供給」といった難題への対応を迫られる日本のエネルギー業界で、生成AIの活用が本格化している。「AX(AIトランスフォーメーション)」は業界にどのような未来をもたらすのか。『エネルギー業界を変革するAX戦略』(大植択真、山岡義史、出馬弘昭著/電気書院)から一部を抜粋。抜本的な生産性向上や新たな価値創造を実現するためのヒントを探る。
安定供給が使命の組織では、変革への危機感が構造的に生まれにくい。そんな「見えざる壁」を抱える関西電力送配電は、いかにして全従業員を変革の担い手にしようとしているのか。
関西電力送配電
ビジョンと実行の「二人三脚」
――CDOと推進リーダーが動かす組織変革
■ すべてを手のひらの上に乗せる「エネルギー・プラットフォーマー」へ
『エネルギー業界を変革するAX戦略』(電気書院)
1992年、関西電力に入社。配電設備の開発や研究活動に従事。2022年より関西電力送配電の執行役員・情報技術部担当としてシステム開発やサイバーセキュリティを担当。その後、常務執行役員/CDOに就任し、DX推進活動をけん引、現職。
高橋 俊輔(たかはし・しゅんすけ)氏
2009年、 関西電力に入社。電柱や引込線、計量器などの保守・設計業務に従事。2023年より関西電力送配電の情報技術部システム統括グループマネジャーとして全社DX推進を担当。2024年、情報技術部にDX推進グループを立ち上げ、同グループのマネジャーに就任、現職。
変革への強い危機感を抱いた関西電力送配電が、長期的なゴールとして掲げたのが「エネルギー・プラットフォーマー」への進化です。これは、単に電気を送るインフラ事業者から脱却し、「顧客や社会がエネルギーに関するさまざまな価値の創出や取引を行う際に、最適なモノ・サービス・取引機会をつなぐプラットフォーム(基盤)を担う存在になる」という壮大なビジョンです(図表3-13)。
松浦氏は、このビジョンを、あるユニークな言葉で表現します。それは、社会基盤として誰もが意識せずとも安心して利用できる、「究極の当たり前」を目指すという意思の表れでした。
「エネルギー・プラットフォーマーとは、お釈迦(しゃか)様の手のひらのようなものです。孫悟空(そんごくう)がどんなことしても、お釈迦様の手のひらからは出ていけないですよね。似たように、少なくとも関西エリアの人や企業などのすべてが、われわれの『エネルギー・プラットフォーマー』という手のひらの上で活動する。そのような地域に密着した姿を目指したいと考えています」









