りそなホールディングス 執行役兼グループCHROの九鬼至留氏(撮影:榊水麗)
2025年11月、性的マイノリティに関する企業の取り組みを評価する「PRIDE指標2025」(任意団体「work with Pride」が策定)で「シルバー」ランクを受賞したりそなホールディングス。ダイバーシティ推進が注目されているが、その土台は2003年の「りそなショック」を機に始まった制度改革にある。同社は組織基盤の再構築を進め、2021年には19コース(現在は20コース)の複線型人事制度を導入。キャリア採用の強化や越境経験を必須とする取り組みなどを広げてきた。狙いと背景について、執行役兼グループCHROの九鬼至留氏に聞いた。
存続危機がきっかけとなった「ダイバーシティマネジメント」への転換
──九鬼さんは2002年に人事部門へ着任し、その直後に「りそなショック」を経験しました。人事部門には具体的にどのような影響があったのですか。
九鬼至留氏(以下、敬称略) 人事に来て1年足らずの2003年に、りそなショック※を経験しました。
※2003年5月、りそなグループ発足直後に起きた経営危機。自己資本不足により総額3兆円超の公的資金が注入され、実質国有化された。同年3月に大和銀行とあさひ銀行の合併・分割により、りそな銀行と埼玉りそな銀行が誕生した直後の出来事だった。
今でも鮮明に覚えていますが、ちょうど賞与の支給作業をしていた時でした。人事にとって賞与計算というのは、全員の査定を反映して支給額を確定する、ものすごく大変な作業です。そのデータが全て固まり、「あとは払うだけだ」という最終段階で突然「賞与支給ストップ」となった。衝撃的でした。
若手の男性総合職を中心に多くの人財が退職し、採用もままならない。人員状況は非常に厳しくなりました。その裏では早期退職の対応にも追われ、人事的には本当に苦しい状況が続きましたね。






