トランプ関税は「暴力団のみかじめ料」
インファンティノ氏は就任以来、サウジアラビアや湾岸諸国、中国といった強権国家との距離を縮め、巨額資金を吸い寄せてきた。巨大な米国市場とスポーツビザの優遇、W杯の治安対応を約束したとされるトランプ氏の政治力には逆らえない。
「解放の日」関税で日本は自動車を含む輸出品に実質25%前後の追加関税を通告され、日米戦略的貿易・投資協定で多くの品目について15%関税を受け入れた。日本は2029年までに5500億ドルの対米投資パッケージを約束、資金配分のかなりの部分をホワイトハウスが主導する。
日本では「令和の不平等条約」「暴力団のみかじめ料に近い」と不満が噴出。米シンクタンクは「日本は関税を下げてもらう代わりに一方的な譲歩と巨額の投資を強いられた」と指摘する。高関税で脅し、投資と市場開放を約束させるトランプ流“みかじめ料外交”の典型と言える。
国家安全保障戦略でも「米国市場は他国に対するレバレッジ(梃子)だ」と宣言し「米国市場に入りたければ条件を飲め」とのロジックを貫く。周辺の安全保障を自ら担い、貿易管理を米国に合わせる国には通商面の優遇、技術移転、防衛装備の優先供給を約束する。