「ナーダム」で弾けた笑顔、那須・須崎での安らぎ

 モンゴル訪問では、雨の中で慰霊碑に黙祷を捧げた後、雨がやんだことに気づいた雅子さまが「もう一度拝礼を」と、提案されたという逸話が注目を集めた。

 最も驚いたのは、雅子さまのその提案を陛下もすぐに受け入れて、もう一度拝礼されたことだった。それだけ陛下は雅子さまに何の抵抗も躊躇も抱かないほど、全幅の信頼を寄せていらっしゃるのだ。

モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月12日、写真:共同通信社)

 この訪問時、両陛下はモンゴルの国民的なスポーツの祭典「ナーダム」の開会式にご出席。雅子さまは、エキゾチズムに満ちた迫力に見入り、弾けるような笑顔を見せられた。その後、参加された「シャガイ」という的当て競技では、なんと最高得点の的に命中。周囲は大盛り上がりだったという。

 陛下からの厚い信頼と包容力が、雅子さまの屈託を解放させていたのではないかと思う。

ナーダムの弓射競技の実演を見る天皇皇后両陛下(写真:共同通信社)

 帰国後の那須や須崎でのご静養では、御用邸で散策されるご様子や出迎えの人々へ向けられた笑顔が報じられ、心身の安定ぶりが伝わってきた。

 特に6年ぶりとなった須崎でのご静養では、ご一家のプライベートな時間を過ごされる写真が公開された。

 御用邸敷地内の三井浜で海水浴を終えられた後にご一家の姿を写したものや、展望台で雅子さまが双眼鏡を首からぶら下げている姿、陛下がシュノーケリング中に水中撮影された海の生き物の写真などだったが、とてもリラックスされた様子が伝わってくるものばかり。

 こうした穏やかな時間こそ、過密なご公務を続ける上で欠かせないものであり、陛下と相談しつつご静養の時間を意識的に割かれてきたことは、雅子さまにとってとても良い効果を生んでいたのではないだろうか。

須崎御用邸で静養するため伊豆急下田駅に到着し、集まった人たちに声をかけられる天皇皇后両陛下と長女愛子さま(2025年8月1日、写真:代表撮影/共同通信社)