海底に眠るレアアース泥をどう採掘するのか?
中村:東京大学は「レアアース泥・マンガンノジュール開発推進コンソーシアム」を組織しており、さまざまな企業とともにレアアース泥の開発システムについて検討しています。
東京大学レアアース泥・マンガンノジュールコンソーシアムで提案している開発システム(図提供:東京大学)
海底の泥を採掘する作業は浚渫(しゅんせつ)と呼ばれており、港などで海底の泥を採ることは一般的に行われています。そこで使われる、「水中バックホウ」と呼ばれる水中専用の重機を使って泥を採掘することを想定しています。これは既存の機械ですが、それを深海に対応させる必要があります。
また、採った泥を水深5000メートル超の海底から引き上げる技術も必要です。深海石油開発企業などは「エアリフトポンプ」という空気を使って石油を引き上げる技術を持っています。この技術を海底資源の採掘に利用することは、欧米では1970年代に行われており、同じような技術をレアアース泥の採掘でも使える、というのが我々コンソーシアムの提案です。
──2026年1月から南鳥島周辺のレアアース試掘が始まるとも報道されています。
中村:これは「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」という内閣府のプロジェクトで、3年前に房総沖水深2470mで行ったテストを南鳥島沖の水深約6000mで実施するものとされています。
2026年1月に実施するのは主として掘削に使われる機器の動作テストで、より本格的な試掘は、その翌年の2027年の1月から3月に実施されると報道されています。いずれにしても、試掘なので、すぐに実際の商業採掘が始まるというわけではありません。
SIPの採掘方法は我々コンソーシアムの提案しているものとは異なるもので、海外でも検討例のない独自の方式だと思います。ドラム缶のような装置を海底に突き刺して、中の泥を解泥・揚泥(かいでい・ようでい)するという小規模なバッチ式のシステムです。そのため今後、商業開発規模へどのようにスケールアップするかが課題になると思います。
日本の産業界は年間およそ2万トン弱のレアアースを使っています。この一部またはすべてを国産資源で賄うためには、大量のレアアース泥を採掘する必要があります。だからこそ、我々は海底の泥を連続的に吸い上げる方式を提案しています。
また、長い時間をかけて独自技術を開発するのではなく、既存の技術を応用することでなるべく早く開発を実現したいという思いもあります。
──なぜすぐに南鳥島の採掘を始められないのでしょうか。