海底レアアースの経済性
中村:まず、採掘や選鉱・製錬のための設備を造らなければなりません。資源開発にはどうしても大きな初期投資が必要です。しかし私たちの試算では、十分に経済性はあると見込んでいます。
もうひとつの問題として、現状のレアアース市場は、中国が世界的に寡占状態で、ほぼ100%マーケットを支配していることが挙げられます。
そこにどこかの民間企業が参入すれば、中国側は供給価格をしばらく引き下げて、新規参入の競合が耐えられなくなるまで待つなどの方法で対抗してくる可能性が考えられます。民間企業が独力で中国という大国と渡り合うことはほとんど不可能です。
──国内で採掘して国内市場に供給している分には、中国との駆け引きは回避できるのではありませんか?
中村:たとえば、日本国内のあるメーカーが日本で採掘したレアアースを使ったときに、中国政府がそのメーカーの製品は輸入しないと発表したらどうでしょう。企業としては国内で採掘したレアアースを使えなくなってしまうかもしれません。日本国内だけで回すにしても、鎖国しているわけではないので、やはり同じ問題が立ちはだかります。
そう考えると、民間企業だけではとても対抗できませんから、国のバックアップが必要です。研究開発をサポートするだけでなく、サプライチェーンの構築と立ち上げをバックアップする施策も合わせて行っていく必要があると思います。
それでも中国の経済規模や政治力を考えた場合、日本が単独で対抗することは難しいかもしれません。だとすると、アメリカやヨーロッパが動き出す時こそが、日本も動き出す好機(タイミング)になるのではないでしょうか。今がまさにそのタイミングだと思います。
欧米は今、軍需に関わる戦略物資を中国に依存してきたことへの危機感を強く抱いて、なりふり構わず中国以外の供給源を求めて動き出しています。今こそ、日本が世界の新しいサプライチェーンづくりに貢献でき、さらに自国の利益にもつながる状況を作れるチャンスだと思います。