ギリシャを出発するグローバル・スムード船団。この後、イスラエル軍に拘束された(写真:ロイター/アフロ)
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 10月6日、気候変動活動家グレタ・トゥーンベリ氏が、グローバル・スムード船団(GSF)の一員として援助物資を届けるためにガザへ向かい、地中海の公海上でイスラエル軍に拘束された事件は記憶に新しい。ただ、その後も同じようにガザに援助物資を届けようと試みる人々の活動は続いている。

 10月8日には、別の船でガザへ向かっていたフリーダム・フロティラ連合(FFC)がイスラエル軍に拘束された。船に乗っていたドキュメンタリー映画監督のトム・ヘイズ氏に、拘束されたときの状況について聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)

──パレスチナに支援物資を運ぼうとしたところをイスラエル軍に拘束されたと報道されています。フリーダム・フロティラ連合(FFC)とは、どのような団体ですか?

トム・ヘイズ氏(以下、ヘイズ):FFCは、ガザに物資と支援を届ける非暴力の組織です。ボランティアによって構成されており、会員証があるような厳格な組織ではありません。

 私の乗った船は「コンシャス号」という名前で、22の国と地域から集まった、10人の船員、そして82人の医師とジャーナリストからなる合計92人が乗っていました。

トム・ヘイズ氏(写真提供:トム・ヘイズ氏)

 医師の中には、産婦人科医、麻酔科医、外科医、精神科医など多様な専門医がおり、鎮痛剤、抗生物質、ガーゼなど10万ドル相当の医療支援物資も一緒に載せていました。このような基本的な医療物資がガザでは不足しているのです。

 ラファ(ガザ地区南端のエリア)の検問所では、ヨルダンなどからの支援物資を載せたトラックがイスラエルによって止められています。そのため、私たちのような民間人が他のルートで支援物資を届ける必要があります。

 医師でない人たちはジャーナリストやSNSなどで情報を発信するインフルエンサー、私のようなドキュメンタリー映画の製作者もいました。ご存知のとおり、海外の記者がガザに入ることができない状況が続いています。

 あたかも我々がイスラエル軍によって拘留されたかのように報じられることもありますが、我々は公海(どこの国の領海でもない海域)で不当にイスラエル軍に拘束され、船をハイジャックされました。これは犯罪行為です。

──どのようにイスラエル軍に拘束されたのですか?