洗練されていた対話型の映像コンテンツ

 彼の発信スタイルの特徴は、「直接対話型で親しみやすい映像コンテンツ」であるとワシントンポスト紙は解説する

 スマートフォンの縦型動画でマムダニ自身がカメラに向かい語りかけたり、市民と触れ合う場面をそのまま切り取ったりする「ウォーク&トーク」という形式が多用された。ただこれは、プロの映像制作者チームと組んで周到な計算の上に制作された映像で、ドキュメンタリー風の親近感とハイクオリティな映像美を両立させていた。

 その結果、SNS上では「ありのままのマムダニの姿」が映し出され、若者世代にも「演出ではなく本物がそこにいる」という自然な印象を与えることに成功したと指摘されている。

 またマムダニ陣営は、ニューヨーク市という多様な人種が集まる都市に配慮した発信も心掛けている。

 多言語・多文化への配慮もそのひとつで、たとえば物価高騰を風刺する動画では、ハラル料理(イスラム教の教えに従った調理法でつくられた料理)の屋台でも価格が上昇していることを「Halalflation(ハラルフレーション)」とユーモラスに命名して訴えたり、ランク選択投票(順位付き投票)の仕組みを説明する動画では、ウルドゥー語でラッシー(ヨーグルト飲料)のカップを使って解説したりと、移民コミュニティにも届く表現を取り入れている。

 こうした文化的な親和性を生むコンテンツは、「自分たちの言葉で政治を語ってくれる」と視聴者に感じさせ、従来政治に関心の薄かった層にもリーチするのに役立ったと評されている。

マムダニ陣営の「ハラルフレーション」動画