韓国も手玉に取られる
韓国に対しても、アメリカは、日本と同様の対応をしている。10月29日、米韓首脳会談が行われた。関税については、アメリカが相互関税と自動車関税を25%から15%に引き下げること、韓国は3500億ドル(約53兆円)の対米投資について、2000億ドルを現金による直接投資、1500億ドルを造船分野に回すことで合意した。
10月29日、米韓首脳会談に先立ち、韓国の李在明大統領は同国で最高位の勲章である無窮花大勲章をトランプ米大統領に贈った。これも関税交渉で少しでも有利な結果を引出すための外交努力の一環と韓国では報じられている(写真:Yonhap News Agency/共同通信イメージズ)また、韓国は、原子力潜水艦の開発支援をアメリカに要請した。米韓原子力協定を改定して、アメリカが韓国に核燃料の供給ができるようにすることを求めたのである。音の大きいディーゼル潜水艦に代わる原潜を導入することによって、北朝鮮や中国に対する抑止力を高めることが狙いである。アメリカは、この要請を受け入れた。
韓国は、日本の対トランプ交渉を、そのまま真似て、少し小型のパッケージで妥協したのである。
トランプの関税攻勢は世界に混乱をもたらしているが、その影響は国内にも及んできている。たとえば、クリスマス商戦を前に、中国から輸入する様々な商品が関税によって値上がりしており、アメリカの小売店は青息吐息である。不利益を被っているアメリカの企業や有権者は、トランプ離れしている。
トランプ支持率は低下している。10月24〜26日にロイター/イプソスが実施した世論調査では、支持率が40%と、任期中の最低水準に並んだ。不支持は57%であった。10月中旬には、それぞれ42%、52%であった。
来年には中間選挙が行われる。有権者の動向にはトランプも注目せざるをえない。民主主義の良さである。支持率が下がり続ければ、トランプも政策を変更せざるを得ないだろう。