シーライオン7のフロントビュー(鹿児島・薩摩半島南端の山川地熱発電所にて筆者撮影)
(井元 康一郎:自動車ジャーナリスト)
販売拠点を増やして日本で強気の姿勢を崩さないBYD
2023年1月に中国企業として初めて日本の乗用車市場への進出を果たしたものの、苦戦が続いているBYDオート(以下BYD)。
今年(2025年)1~8月の販売台数は2175台。前年の同じ期間と比べると35.1%の大幅増だが、全国にディーラーを42拠点開設し、さらに20拠点を準備中という大きな投資に見合うリターンを得るにはほど遠いスコアだ。BYDと同様BEV(バッテリー式電気自動車)専売のテスラは推定6500台を売っているので、せめてその半分くらいは売りたかったところだろう。
それでもBYDは新商品を毎年投入することを表明するなど、今のところ攻めの構えを崩していない。実際、BYDの車種展開は日本での販売が難しいBEVを柱としていることを考慮すると相当に挑戦的といえる。
2023年にコンパクトクロスオーバーの「ATTO3」、2024年にコンパクトハッチバックの「ドルフィン」、Dセグメントミッドサイズの「シール」、そして今年はDセグメントクロスオーバーの「シーライオン7」を発売し、現在4モデル体制となっている。
さらに来年には非BEVのPHEV(プラグインハイブリッドカー)を日本に初投入し、間に合えば同年に軽自動車規格のBEVをリリースする見通しだ。BYDオートジャパンの東福寺厚樹社長は「本国のBYDは諦めの悪い企業という印象」と語っていたが、それを裏付けるような強気の姿勢である。
今夏、そんなBYDの現時点での最新商品であるシーライオン7を長距離ロードテストしてみたので、インプレッションと今後の展望についての考察をお届けしたい。
シーライオン7(山口県の角島大橋、筆者撮影)