暢が速記を習った理由は?
柳瀬嵩によれば、暢は体重45キロ、小柄で細身だった。
若い頃は血色も良くなく、青白い顔をしていたようで、学校の先生から「病気ではないか」と注意を向けられていた。
年を重ねると、血色は良くなり、ふっくらしてきたが、それでも、年齢を考えると、ほっそりしている方だった。
暢は童顔で、実年齢よりも遙かに若く見えたという(以上、やなせたかし『アンパンマンの遺書』)。
ドラマの「のぶ」と同じく、暢も俊足で、女学校では「韋駄天おのぶ」と呼ばれた短距離ランナーでもあった。
また、ドラマと同じように、暢も速記を身につけていた。嵩いわく「中根式速記の名手」だったという。
だが、暢が速記を習った理由は、ドラマとは違っている。
暢は裁縫が苦手なため、他人に依頼して洋服を作って貰わなければならなかった。その費用は自分で稼がないといけないと考え、速記を習ったのだという(越尾正子『やなせたかし先生のしっぽ~やなせ夫妻のとっておき話~』)。