ADASと自動運転の「境界」は?

 ADASは、運転の主体が運転者であり、自動運転の基準である5つのレベルのうち、自動運転レベル1またはレベル2を指す。

 一方、自動運転レベル3〜5では、運転の主体をクルマのシステムが担うことがADASとの大きな違いだ。

 これまでホンダは、ADASの技術において「Honda SENSING」「Honda SENSING 360」「Honda SENSING 360+」という3つの段階があると説明してきた。これらは自動運転レベル1〜2となる。

 また、高級車「レジェンド」で採用した「Honda SENSING Elite」は、自動運転レベル3の自動運転にあたる。レベル3では、クルマのシステムが運転の続行は難しいと判断すると、運転者に運転を依頼するという考え方だ。

 分かりにくいのは、次世代ADASは、ADASと名乗るのだから自動運転レベル2なのだが、技術的には自動運転レベル3の「SENSING Elite」の技術を応用するという点だろう。

 さらに、既存のHonda「SENSING」「SENSING360」「SENSING360+」も当面続くとしており、ユーザーにとっては極めて分かりにくい状況になりそうだ。

 ホンダに限らず、自動運転レベル3は高コストで採算性が悪いため、普及が進んでおらず、それに代わって自動運転レベル2であるADASの高度化が進んでいるのが実情だ。メーカーによっては自動運転レベル「2+」と表現する場合もある。

 そうなると、ユーザーにとってはますます、ADASと自動運転との境が分かりにくくなってしまう。