進化するライダーとサーマルカメラ
一つは、ヴァレオとして第3世代となるライダー「SCALA3」だ。
これまでライダーは、走行速度が低い一般道を主体とし、見通しの悪い交差点での周囲検知などで実用化されてきた。

それを時速130km程度の高速走行にも適用できるようにした。前世代ライダーと比べて、解像度を40倍まで高めたことで、光の反射率が低い物体については前方約200m、また反射率が高い物体ならば前方約300mでも検知が可能だ。
屋外のデモンストレーションでは、200m先の路上にあるタイヤを検知できた。これにより、高速道路での落下物事故を防ぐことが考えられる。同モデルは、ソニーとホンダが2026年から量産する「AFEELA」で採用される。
もうひとつの新技術は、遠赤外線カメラ(サーマルカメラ)だ。アメリカのTeledyne FLIR社と協業する。

ADASで採用されている、画像認識カメラやライダーでは、夜間や悪天候(霧、雪、ほこり)などで検知能力が下がる場合があるが、これをサーマルカメラが下支えするという考え方だ。
実際、蒸気を発生させてカメラとサーマルカメラの画像を見比べたが、サーマルカメラでは人物や周囲の状況がしっかり確認できた。


アメリカの自動車安全基準であるFMVSS(フェデラル・モーター・ヴィークル・セイフティ・スタンダード)では、2029年から夜間での対歩行者・衝突被害軽減ブレーキ試験が必要になるが、それにはサーマルカメラが有効だとの見解を示す自動車メーカーもいる。
このように、次世代ライダーやサーマルカメラが、ADASの高度化を実現するために重要な要素になることは間違いなさそうだ。