結局、一部は中国企業のソフトウェアで間に合わせるしかなかった。積み上げのエンジニアリングと指数関数的に進化するデジタル技術ではエコシステムは異なる。自動車・自動車部品、機械、化学がドイツ経済の強みだが、特許出願件数は世界5位まで落ち、生産拠点は海外に移転する。
機能していない英国の鉄道よりひどい
オラフ・ショルツ独首相は先の総選挙で鉄道民営化案について「何も機能していない英国のように最悪の結末を迎えるだろう」と退けた。しかし英紙フィナンシャル・タイムズ(2月9日付)の分析ではドイツの高速列車の10分以内到着率は72%。英国の長距離列車は78%だ。
ドイツからアムステルダムへの運行は平均約13分の遅延が発生するが、ドイツ以外からアムステルダムへ向かう列車は定刻から2分以内に到着する。15分以上の遅延はドイツ約20%、英国はその10分の1だ。鉄道インフラへの投資より道路の補修と財政健全化を優先したツケだ。

ドイツにとり借金は「罪悪」以外の何物でもない。ハイパーインフレーションが独裁者アドルフ・ヒトラーを生み落とした暗黒の歴史のため均衡財政への執着は病的と言えるほど。米英が借金は将来の成長への投資であり、上手く管理すればいいととらえているのと大違いだ。