閣議中のトランプ大統領(写真:UPI/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

第2次トランプ政権の政治力学

[ロンドン発]米紙ニューヨーク・タイムズのマーク・ランダー・ロンドン支局長がシンクタンク「英国王立防衛安全保障研究所」(RUSI)主催の討論会(4月29日)でドナルド・トランプ米大統領の貿易戦争と第2次政権の政治力学について分かりやすく解説してくれた。

ランダー支局長(左端)とウェストマコット元駐米英国大使(右端、筆者撮影)

 討論会のテーマは「第2次トランプ政権の100日」。もう1人のパネラー、ピーター・ウェストマコット元駐米英国大使(2012~16年)はトランプ政権を貿易政策、制度的解体、移民政策、外交政策の4つの角度から評価した。

「最も重大な米大統領任期だ。ウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長は『私たちが知る西欧はもはや存在しない』と述べた。トランプ氏は国際機関が制約として機能する仕組みを好まず、本能的に世界は強大な国々が支配すべきだと考えている」と元大使は指摘した。

 一方、ランダー支局長は貿易に焦点を絞って「トランプ氏が何らかのイデオロギー的な信念をもし持っているとすれば、貿易、関税の有用性とその効果に関するものだ。彼は長年、関税が貿易関係を再均衡化する短期的な手段であると信じてきた」と解説した。