
(舛添 要一:国際政治学者)
関税攻勢から始まって、ウクライナ停戦まで、トランプ大統領は、公約で掲げた政策を矢継ぎ早に実行しているが、思い通りの成果は上がっていない。副作用のほうが大きいし、アメリカ国内でも批判が強まっている。
損失の数々
トランプ関税には、アメリカの生産者も消費者も困り切っている。物価は上がるし、アメリカ製品の輸出も捗らない。カリフォルニア州、ニューヨーク州、アリゾナ州など12の州が、トランプの関税政策の停止を求めて裁判を起こした。
トランプ関税は世界中から反感を買い、アメリカ製品のボイコットや観光客のアメリカ旅行取りやめなどが起こっている。
ハーバード大学などへの「リベラル狩り」については、先週の本コラムで解説したが、世界の若者が留学先を他国に変更している。
(参照記事)ハーバードを恫喝するトランプの「リベラル狩り」に大衆はなぜ喝采送るのか…背景に米国の低学歴層が抱く反知性主義(JBpress 2024.4.19)
私の経験からしても、若い頃に留学した国は、第2の故郷のようになるもので、トランプは、次の世代の有為な人材を反米にしてしまう。
アメリカのビザを申請すると、スマホやパソコンを調べられ、反米的発言が見つかると、ビザをもらえない。これは、独裁国家と同じで、民主主義国家の行うことではない。