ライター、ウィルクス両氏は筆者に「工場をデジタル化するインダストリー4.0はドイツの製造業の大部分を占める家族経営企業のような中間層には浸透しておらず、大きな成功を収めていない。ドイツのデジタルスキルが非常に遅れていることが一因だ」と指摘する。

ドイツ固有の特性は守られるべきだという神話

「中国製造2025」はインダストリー4.0のコピーと言える。インダストリー4.0は研究主導で巨額の研究助成が行われたが、必ずしも企業の業績向上に結びつかなかった。また経済を第一に考える繁栄の共有というアイデアもウラジーミル・プーチン露大統領には響かなかった。

「価値の高い製品を作るには知識基盤を活用して付加価値をさらに高める必要がある。人件費やエネルギーコストの面では中国と競争できない。消費者に重要な品質において技術的に先行していたかつての成功の原点にドイツは立ち返る必要がある」(両氏)

「デジタル技術に対する後ろ向きの姿勢はドイツの足かせになっている。ドイツの平均的なインターネット速度はタイの半分だ。米国では普通の公立学校でもプログラミングの授業があるが、ベルリンのかなり優秀な学校ではプログラミングは全く習わない」(同)