スポーツを町の日常にした新潟県村上市

 新潟県村上市では、合併前の村上、山北(さんぽく)、朝日、神林(かみやはし)、荒川の5地区それぞれに総合型地域スポーツクラブ(以下、総合型SC)を設置して、住民の健康増進と交流促進を図る。

 総合型SCは、文部科学省の呼びかけで1995年から各地で設立されているもので、地域全体の健康水準の底上げやコミュニティの活性化を、民間主導で行うことを目指している。

 市内の五つの総合型SCでは、住民向けの体操教室やスポーツイベントを主催している。高齢者の買い物支援や障害者の放課後支援などを行う総合型SCもある。住民との距離が近い総合型SCが、行政に先んじて地域の課題に対応しているといえる。

 他方、総合型SCの運営には行政の支えが欠かせない。利用する体育館や野球場などの施設は、いずれも市が所有するものである。

 総合型SCは、それらスポーツ施設の指定管理先として市から委託料を受けており、これが収入の多くを占める。利用者から徴収する年会費や都度の利用料だけではクラブを維持することは難しく、かといって利用料を引き上げれば住民の足が遠のき、地域の健康増進や交流促進という目的を果たせなくなる。

 総合型SCでも、互いにスタッフや設備を融通し合ったり、受託事業の窓口を分担したりして効率化を図る。地元企業などからの協力も支えに、地域を元気づけようと取り組む。

総合型SCで体操をする住民たち

 次回は、スポーツを地域活性化につなげるためのポイントと課題を、3地域の事例を用いながら考えたい。