広島県北広島町の地域密着ソフトテニスクラブ「どん北」

 広島県北広島町では、NTT西日本の実業団チームであったソフトテニスクラブを誘致し、「どんぐり北広島ソフトテニスクラブ」(以下、どん北)を創設した。

 実業団として活動する場合と異なり、チームの活動資金や選手の給料を地域で工面しなければならない。地元企業や公民館などに選手の職場を確保し、町営住宅を選手の住宅として提供した。地元の運動公園をチームのホームコートとした。

地元住民の応援を受けてプレーする「どん北」の選手たち

 合併前の各地区から役員を選出して後援会を結成。地元企業や住民からの寄付金を、チームの活動資金に充てる。町もふるさと納税にトップアスリート支援枠を設け、2023年度はどん北向けに約700万円を集めた。

 後援会以外にも、住民が独自に「ピンクの応援団」を結成。遠征試合にもバスをチャーターして応援に行く。田んぼを1枚、どん北専用に手入れして、コメを提供する住民グループもある。選手の勤務先の一つで、ホームコートがある運動公園横の飲食店では、練習後の選手の夕食を用意する。

 住民の声援に応えるように、チームは国内外の大会で連戦連勝している。町も、ソフトテニスの全国大会や、中学生の大会と講習会をセットにしたイベントを毎年開く。合同練習を希望する他地域の実業団など、全国から年間3000人以上が訪れるようになり、宿泊施設の稼働率が上がった。

 応援や祝勝会を通じて、住民同士の距離は縮まった。選手の応援が張り合いになったお年寄りも多く、どん北は地域全体の誇りになっている。

どん北を応援する北広島町の住民たち