約8秒を削るポイントは?

キピエゴンはどのように“パーフェクトマイル”を成し遂げるのか。ナイキスポーツ研究所 VPのエイミー・ジョーンズ・ヴァテラルスはこう考えている。
「この挑戦には多くの人が関わり、酸素状態・無酸素状態でのデータ分析、シューズやアパレルの試作とフィードバックを繰り返していき、全方位からのサポートが行われます。10年~30年かかると言われる挑戦をイノベーションの力でどこまで短縮できるのか。この挑戦が成功するには、場所、天候、空力、身体の動き、ウェアやフットウェアの効率、人間の感情や自信までも含めあらゆる要素が重なり合う必要があります。限界に挑戦するフェイスを多くの方に見てもらうことができれば、それだけでも成功だと思います」
最先端の科学的なサポートに加えて、『Breaking2』のときのような世界を変える“スーパーシューズ”が登場するかもしれない。どんなチャレンジになるのだろうか。
2018年6月に第1子となる女児を出産して、さらにパワーアップしたキピエゴン。最後に彼女の言葉を紹介したい。
「私はオリンピックで3度優勝し、世界選手権のタイトルも獲得しました。そこで、他に何ができるだろう? 並外れた夢を見るのも良いのでは?と考えたのです。『自分を信じて、チームも私を信じてくれるなら、きっとできる』と自分に語りかけました。この挑戦を通じて女性たちに『夢を持って、その夢を実現しよう』と伝えたいです。限界に挑戦し、大きな夢を見る。それが女性のあるべき姿です」
開催期間は2025年6月26日~28日。最適な条件になる日を選んで調整するという。場所はパリのスタッド・シャルレティスタジアム。キピエゴンが過去に1500mと5000mで世界記録をマークした会場だ。わずか4分間の“伝説のレース”を見逃すわけにはいかない。