テレワークで対応できる職務を増やしてコストを最小限に抑える
最後3つ目の施策は転勤制度をなくすのではなく、テレワークできる環境を整えて転勤自体を不要にしてしまうことです。
全社員を対象にこれが可能であれば、転勤問題は解決します。しかしながら、看護や介護といったエッセンシャルワーカーのように、現場に人がいなければ成立しない職務もあります。
販売や医療、建設などの分野では、機材を遠隔操作して職務をこなす取り組みなども進められてはいます。ただ、いまのテクノロジーでは遠隔操作で解決できる職務の方が圧倒的に少ないのが実情です。
以上3つの施策には、いずれも一長一短があります。中にはどれかを選択して上手く運用できているケースもあるとは思いますが、多くの会社にとってはどれも転勤対策の決定打とはなりえません。また、いまのところは上手く運用できているように見えても、5年、10年と月日が経つにつれて綻びが生じてくる場合もあります。
最も現実的な選択肢としては、どれか1つの施策だけでなく、3つの施策を組み合わせた総合的対応策によって転勤を巡る課題を最小限にとどめることでしょう。
できる限り多くの職務をテレワーク可能にすれば、転勤させなければならないケースを減らすことができます。するとその分、勤務地限定正社員を導入して、転勤NGを訴える人材でも採用したり退職を防止したりしやすくなります。
もし遠隔地で欠員が出て現地採用が難しかったとしても、テレワークで対応できる職務が多いほど、勤務場所にこだわらず欠員分の人員を補充しやすくなります。それでも転勤してもらわなければならない状況が発生した場合のみ手当を厚くすれば、コスト上昇は最小限に抑えられます。