有給休暇の未消化日数は年々減少傾向にはあるが…(写真:umaruchan4678/Shutterstock.com)

川上 敬太郎:ワークスタイル研究家)

「休み方改革」の進捗は道半ば

 近年、大手有名企業だけでなく地方自治体などでも、週休3日制を取り入れる事例が見られるようになってきました。ネットでは「強制的に週休3日制を導入してほしい」「週休4日ほしい」といった、より多くの休みを求める声が聞かれます。

 一方で、土日出勤が頻繁に発生し、週休2日さえ満足に取得できない職場もあります。また、週休3日制を掲げてはいるとはいえ1日10時間働き、週休2日の場合と変わらず週40時間勤務しているといったケースも見受けられます。

 働き方改革関連法は、2019年に施行されて6年目を迎えました。週休3日制の掛け声がしばしば聞かれるようになったものの実質的には休みが増えたとは言えないケースもある中、働き方と表裏一体である“休み方改革”は進んでいると言えるのでしょうか。

 働き方改革関連法によって施行された取り組みの中で、特に大きな影響を及ぼしている制度の1つが年次有給休暇の取得義務化です。年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対して、最低でも年に5日間は必ず取得させることが職場に義務づけられました。

 厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、別掲グラフのように有給休暇の未消化日数は年々減少傾向にあります。最新のデータである2023年では平均5.9日です。

 もう1つ大きな影響を及ぼしているのが、残業時間の上限規制です。これまでは実質的に無制限だった残業時間に明確な上限が設けられるようになりました。厚労省の「毎月勤労統計調査」によると、この制度が施行された2019年には、以下グラフにあるように月間実労働時間が164.8時間と大きく減少しています。

 新型コロナウイルス感染症の影響もあり、2020年には労働時間がさらに減少しました。その後、脱コロナへと向かう中で労働時間は徐々に上昇したものの、5年間の猶予期間が設けられていたドライバーや建設業、医師などにも上限規制が適用されることになった2024年に再び減少へと転じています。

 これらの数値は、働き方改革関連法の効果を表すものです。しかし、法施行前よりは低くなったとはいえ、2020年をピークに労働時間の減少には停滞感があります。また有休についても、未消化日数の減少が続いているとはいえ、平均で6日近くも使い切れていない状況です。休み方改革の進捗は、まだ道半ばだと言えます。