この1秒を忘れるな!
昨年10月の箱根駅伝予選会は通過ラインに1秒届かず、東農大の選手たちは泣き崩れた。
「私自身もそうですけど、1秒差の悔しさを感じながらやっています」と小指監督。新年度は「全日本と箱根の選考会を突破したい」と意気込みを語った。
箱根予選会を1秒差で逃したことが話題になったが、通過が確実視されていた東海大の選手が熱中症に苦しみ、ゴール直前で途中棄権した結果でもある。
「1秒差と言われていますけど、本当の差は1秒ではないことを理解しています。その差(約2分)を埋めないといけませんし、予選会を突破するだけでは本戦で勝負できません。予選会をトップ通過して、本戦でシード権を目指せるようなチームにしていきたい」と主将・菅原は力強かった。
今年度の4年生は箱根駅伝にひとりも出場できなかった。夢かなわず、卒業したが、「先輩たちに給水係をお願いして、一緒に箱根を走ってもらいたい」(菅原)という目標もある。
チームの状態は上々で、2月2日の日本学生ハーフマラソンで原田洋輔(3年)が農大歴代2位の1時間01分49秒をマーク。3月12日の立川シティハーフマラソンでは植月俊太(2年)が1時間04分06秒、磯光清(2年)が1時間04分14秒と自己ベストを更新している。また3月16日の新潟ハーフマラソンでは小島岳斗(4年)が1時間03分45秒の自己ベストで3位に入った。
気になるのは10000mでU20日本記録を持つエース前田和摩(2年)の状態だ。昨年は5月の日本選手権10000mで3位に食い込んだが、夏に肺気胸を発症した影響で、箱根駅伝の予選会を欠場した。その後はレースに出場していない。

「前田はジョグをやっています。徐々に試合にも出していきたい。日本選手権10000mは間に合うか微妙ですが、ポテンシャルが高いのでわからないですね」と小指監督。前田は4月12日に熊本で行われる日本選手権10000mに出場意欲を見せているようだ。今年9月に開催される東京世界陸上代表を狙える位置にいるだけに、その動向が注目される。
新チームは「松葉緑の革命」をスローガンに掲げており、箱根駅伝に復帰するだけでなく、上を目指していく。OBとしては新寮の“効果”を期待せずにはいられない。