高校生がコンシュルジュを務めることも

 こどもたちは、運営スタッフやボランティアと同じ空間で、宿題をしたり漫画を読んだりして思い思いの時間を過ごす。「地域の方々は、こどもたちへの思いを持って、そこに一緒に居てくれるだけでありがたい。こどもに寄り添い『すごいね』とほめてくれる何気ない言葉に、救われることもある」と寺田校長は言う。

 立川二小のまんがLivingでは、通信制高校に通う生徒が研修を受け、コンシュルジュとして滞在することもある。

 コンシェルジュになった生徒の一人は、小学生の時に学校になじみづらさを感じていたという。高校に入り、地域の大学生との交流が心の支えとなった自身の経験から、「今度は自分が後輩たちを支える番」という気持ちでにしょぼらに参加した。

 立川二小のまんがLivingを運営する育て上げネット執行役員の井村良英さんは、「これまでの若者支援の経験から、人は『分かってくれる人が3人いれば大丈夫』だと感じている。だから『居場所』では、こどもたちにやさしい眼差しを送る理解者の存在が重要だ」と話す。

立川二小のまんがLivingを運営する育て上げネット執行役員の井村良英さん(写真提供:育て上げネット)

 にしょぼらやまんがLivingは、こどもたちのことを気にかけて見守る人を増やすための取り組みの一つであると同時に、漫画の登場人物が「理解者」となったり、誰かの思いが込められた漫画がこどもたちを「眼差し」たりする本の力にも期待している。

「そこにいるだけでやさしい眼差しを感じることができる場所が、学校内にあることが大切だ」

 漫画を媒介とした居場所づくりの大切さは、これまで困難を抱えたこどもたちを本の力で支えてきた人に共通する意見だ。