「劣等感は健康の証」。アドラーはそう言い切る(写真:Follow Focus/Shutterstock)「劣等感は健康の証」。アドラーはそう言い切る(写真:Follow Focus/Shutterstock)
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「どうせムリ」「私にはできない」……。ついついネガティブワードが口をついてしまう、そんな劣等感に悩む人に知ってほしいのが、心理学三大巨頭の一人・アドラーの言葉だ。劣等感は「悪」なのか。「劣等コンプレックス」とは何が違うのか。長年、アドラー心理学を研究・普及してきた岩井俊憲氏が、アドラーの言葉をわかりやすく「超訳」してお伝えする。

(*)本稿は『超訳 アドラーの言葉』(アルフレッド・アドラー著、岩井俊憲編訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・再編集したものです。

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人間は劣等だからこそ発達した

 自然界にあまたいる生物のなかで、人間は「劣等」な生き物だ。体も大きくなければ、強い角も牙もない。圧倒的に速く走れるわけでもない。そして「劣等」であるがゆえに、「不足している」「安全ではない」という意識を人間は常にもっている。

 その意識が常にあるからこそ、環境に適応し、安全に生きる状況を作り出すために、外敵に備えておくことや対策をしておく方法などを考えだしたのだ。

 この人間を環境に適応させ、安全な場所をつくる能力をもちえたのは、人間の「精神」という器官が発達したからである。

『人間知の心理学』

アルフレッド・アドラー(写真:World History Archive/ニューズコム/共同通信イメージズ)アルフレッド・アドラー(写真:World History Archive/ニューズコム/共同通信イメージズ)
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