漫画を媒介に地域と児童を繋ぐ
東京都の立川市立第二小学校では2024年12月、学校内の空き室を利用して「まんがLiving」の取り組みを始めた。
それまで別の用途で使用していた広さ10平方メートルほどの畳の部屋に、地域の関係者らが持ち寄った約700冊の漫画などと、小学館集英社プロダクションから寄贈されたパネルが置いてある。市内の若者支援のNPO法人「育て上げネット」が、放課後の運営を担う。

まんがLivingの導入を決めた寺田良太校長は、「小学校に漫画を置くことに抵抗を感じる方がいるかもしれないが、今や漫画は『文化』として認められている。漫画を通して『学校と地域』、『人と人』を繋ぎたいと考えた」と、導入の目的を語る。
寺田校長は、2011年の東日本大震災をきっかけに「地域の防災力を高めるために、学校が媒体になれないだろうか」という思いを持つようになったという。2020年からのコロナ禍で人と人との繋がりが薄れる中で、その思いをさらに強めた。
「こどもたちは地域で生きている。だから、地域の中で育ってほしい。こどもに対し、教師だから育てられる力と、地域の大人だから育てられる力がそれぞれあるはずだ」
立川二小は、まんがLiving導入に先立つ2024年4月、保護者や地域の大人が学校内でボランティアをする「にしょぼら」という取り組みをスタートさせた。これが現在のまんがLivingの運営に大いに役立っている。
学校からの毎月のボランティア募集に対し、保護者や地域の大人が、校庭の畑や花壇の整備を手伝ったり、教室での授業で困り感のある児童をサポートしたり、様々な学校行事の運営準備を手伝ったりしながら、こどもたちを見守っている。
ボランティアに訪れるのは大人だけではない。地域の通信制高校などに通う生徒たちも、図書室の蔵書整理を手伝ったり、児童に読み聞かせをしたりすることもある。
ボランティアの拠点となる「にしょぼらルーム」はカーペット敷きの部屋で、まんがLivingの隣にある。いずれも様々な理由で学校や教室になじみづらさを感じているこどもたちの居場所になっている。