軍艦の不足分は日韓豪やNATOからの援軍でカバーできる

「355隻」「400隻」などの艦艇数にカウントする艦種だが、空母や巡洋艦、駆逐艦、潜水艦など「大型戦闘艦」のほかに、揚陸艦や輸送艦、各種補給艦、掃海艦など、支援・兵站関連の非戦闘艦も多数含まれているため注意が必要だ。

 英シンクタンクの国際戦略研究所(IISS)が発行する『ミリタリーバランス』を基に大型戦闘艦(満載排水量1000トン前後以上)だけで数え直すと、2023年末現在で米海軍197隻、中国海軍は210隻となる。こうして見ると、米海軍が大騒ぎするほど大型戦闘艦の隻数に大差はないことも分かる。

 ただ、米中の大型戦闘艦の隻数にあまり差がないとは言うものの、米海軍は艦隊戦力を太平洋・インド洋と大西洋の2方面に分けなければならない。

 例えば、インド太平洋重視や、中国海軍ほどの脅威はないロシア海軍を加味し、大型戦闘艦全体の3分の2を太平洋・インド洋に配備したとすると約130隻となる。中国海軍の210隻と比べれば、明らかに劣勢だ。

 だがアメリカには「多数の同盟国」が控える。

 インド太平洋では、空母と原子力潜水艦を除けば大型戦闘艦で、アメリカに次いで西側陣営第2位の勢力を誇る日本が76隻、韓国が52隻、豪州が19隻、カナダが16隻(大西洋配備分を勘案し、3分の2相当の10隻前後とする)が存在、合計157隻が西太平洋とインド洋を受け持つ米第7艦隊に加勢できる計算だ。

 さらに、英仏独伊蘭などNATO主要国の空母や潜水艦、駆逐艦も駆けつければその規模は10隻以上になり、英仏伊は空母も持つ。米海軍を中核とした“西側連合艦隊”は、ざっと300隻の規模となり、中国海軍を圧倒する。