ペルーで開催されたAPEC 2024に合わせて米国のバイデン大統領と会談した中国の習近平国家主席(2024年11月16日、写真:ロイター/アフロ)

(川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問)

 習近平は2022年秋の共産党大会で3期目に入ったが、中国ではその頃から不動産不況が深刻化した。3期目の半分が終わろうとするのに不動産不況から抜け出すことができない。国内景気は冷え込むばかりである。

 習近平は2027年秋の党大会で4期目に入るつもりでいたが、こんな調子ではいくら国内の統制を強めても4期目に入ることは難しい。

 そんな習近平は台湾侵攻に固執している。2027年秋までに台湾を解放することができれば、自身のカリスマ性が強化されて4期目が確実になる。台湾問題は2025年から26年にかけてが最も危険と言われる所以である。

 習近平は台湾に侵攻したい。しかし肝心な軍は台湾侵攻に乗り気ではない。軍事のプロたちは米軍の強さと中国軍の実力をよく知っている。米軍が介入すれば台湾侵攻は不可能であり、かつ自軍に大きな損害が出る。軍人たちは死にたくないから、習近平の任期延長のために行われる台湾侵攻に付き合いたくない。このところ習近平と軍は人事を巡って闘争を繰り返していると言われるが、その真の原因はここにある。