米海軍の艦艇数は「300隻弱」から「380隻超」へ拡大か

 トランプ氏は、第1次政権発足の直後から海軍増強に積極的で、当時約300隻まで減少した艦艇数を、今後30年間で355隻に増やす計画を法制化している。

 冷戦末期の1980年代、レーガン政権は「米海軍600隻体制」を推進し、世界で圧倒的な強さを誇ったが、その後約30年間で隻数は半減した。米民主党政権による予算圧縮がその要因で、戦力漸減に悩む米海軍にとってトランプ政権の出現はまさに「干天の慈雨」だった。

2017年7月、ノーフォーク海軍基地で行われたジェラルド・R・フォード(空母)の就役式で観衆に笑顔を向けるトランプ氏2017年7月、ノーフォーク海軍基地で行われたジェラルド・R・フォード(空母)の就役式で観衆に笑顔を向けるトランプ氏(写真:©TNS via ZUMA Wire/共同通信イメージズ)

 2020年に民主党のバイデン政権が誕生すると海軍増強計画の停滞が危ぶまれたが、トランプ氏が返り咲いたことで、米海軍幹部たちはさぞ歓喜したことだろう。

 毎年春先に米海軍がまとめている中長期プラン「今後30年間の(軍艦)建造計画」(30-year shipbuilding plan)は、2024年3月公開分が最新版だが、そこでも軍艦の老朽化や隻数減少の危機が強調されている。

 300隻を切った(2025年1月時点で295隻)主要艦艇数は、これまでの目標値「355隻」に上方修正し、2042年までに約80隻増の381隻にするとの大胆プランを提案している。

 今年の春先には「30年間の建造計画」のアップグレード版がリリースされる予定だが、海軍びいきの第2次トランプ政権を念頭に、より積極的な建造計画に大幅変更される可能性が高い。

建造が始まった米海軍の次期ミサイル・フリゲイト「コンステレーション」級建造が始まった米海軍の次期ミサイル・フリゲイト「コンステレーション」級。2029年に実戦配備の予定だ(CGイラスト/米海軍ウェブサイトより)