韓国に対するトランプの恫喝外交始まる、左翼政権誕生なら半島の緊張拡大
米軍撤収・関税で恫喝、韓国は核武装ちらつかせ反発か
2025.1.29(水)
高濱 賛
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米屈指のアジア問題シンクタンクが2論文発表
アジア情勢の調査研究、分析では屈指のシンクタンク「National Bureau of Asian Research」*1(本部シアトル)が、米韓の第一線で活躍する2人の専門家にこの質問をぶつけた。
*1=米議会のレジェンド的存在だった故ヘンリー・ジャクソン上院議員(民主党、ワシントン州選出)の遺志を受け継ぎ、ボーイングやユナイテッド航空が出資して設立されたアジア問題専門シンクタンク。超党派で元米軍最高幹部や軍事専門家が研究員になっている。
米側は、ジョージ・ワシントン大学のグレッグ・ブレイジンスキー教授(コーネル大学博士号取得)。
韓国側はジョージ・メイソン大学コリア校のソヤング・クウォン教授(オックスフォード大学博士号取得)だ。
ブレイジンスキー氏は、現状をこう見る。
「トランプ氏の再登場によって、米国は『ネオリベラル的経済秩序』(Neoliberal economic order)を捨て、世界を親米と反米のどちらかに色分けする」
「敵か味方か、米国の国益にとって役立つか否か、を分ける外交を推進する」
「これまで自由貿易、グローバリゼーション、規制緩和、消費者優遇の『ネオリベラル的経済秩序』の下で恩恵を受けてきた韓国だが、これからはそうはいかなくなる」
「政治・軍事・外交面では米国につくか、中ロにつくか、その選択を迫られる」
その時期にタイミングを合わせるかのように、親米派の尹錫悦氏をめぐる弾劾・罷免騒ぎが起こったことは偶発的なことでなく、歴史上の必然だったのかもしれない。
ブレイジンスキー氏は、さらにこう予想する。
「尹錫悦大統領が政権の座に留まろうと、李在明(イ・ジェミョン)氏ら左翼勢力が取って代わろうと、トランプ氏は貿易インバランスを修正するための関税の引き上げや駐韓米軍駐留経費分担の増額要求を突き付けてくるだろう」
「さらに、バイデン前政権が道筋をつけた日米韓防衛パートナーシップの強化・深化を求める」
「反米・反日のリベラル的な李在明氏のような大統領が登場すれば、こうした要求はさらに仰々しい(Grandiloquent)恫喝的なものになるに違いない」
「他方、トランプ氏はロシアのウラジーミル・プーチン氏や北朝鮮の金正恩氏との『個人的関係』をちらつかせ、明確な戦略もなしに北朝鮮との単独交渉を示唆して、韓国を脅すこともありうる」
「北東アジアの緊張を煽りつつ、韓国世論に反米・反日政権が誕生することの危険性を印象付けるのもトランプ流の裏技になるかもしれない」
(The Outlook for South Korea in a Second Trump Administration | The National Bureau of Asian Research)