
(韓光勲:ライター、社会学研究者)
2月8日、石破茂首相が米ワシントンのホワイトハウスでトランプ米大統領との初めての首脳会談を行いました。「関税をかけるとの脅しを受けるのではないか」「防衛費の国内総生産(GDP)比3%を要求されるのではないか」といった観測もありましたが、杞憂に終わりました。しかし、Xでは石破首相の立ち振る舞いを「日本の恥」とする投稿がトレンド入り。果たしてトランプ大統領との会談は“落第”だったのでしょうか? 今回の石破・トランプ会談について、かつて筆者が研究したアメリカ外交の観点から筆者なりの評価を示したいと思います。
石破首相は「日本の恥」?
産経新聞の記事によると、石破首相の振る舞いについて、ネット上では「肘ついて踏ん反り返って態度が悪過ぎる。これでは好かれないわ」「どうみたって偉そうじゃないか」「こんなだらしない座り方で、人と話しますか」といった批判が出たといいます。
記事ではさらに、自民党や日本保守党の議員の「トランプ大統領は一方的に記者会見を終え、石破首相と握手をせず、舞台を降りてしまいました」とか、「カメラも入っている場面で、ああいった姿勢で米大統領と並んだ人は他に記憶がない」といったコメントも紹介されています。
率直に言って、こういう反応には驚きました。筆者は、今回の日米首脳会談は「100点」だったと思っています。
トランプ大統領は、それまでの歴史的な文脈には左右されず、自身の外交方針を貫くタイプです。今回の会談は、カナダやメキシコに対して25%の関税をかけるという脅しをかけ、両国と取引(ディール)を行った直後です。