白人差別を理由にトランプに標的にされた南アフリカ、経済援助や支援停止
マスク、サックス、ティールら南ア出身億万長者側近3人衆が入れ知恵か
2025.2.13(木)
高濱 賛
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白人への「逆差別」は許せない
就任以来、大統領令を乱発している米国のドナルド・トランプ大統領が2月7日、南アフリカへの経済援助や支援を停止する大統領令に署名した。
トランプ氏は、9日のSNSへの投稿でこう書いた。
「南アフリカは土地を没収し、特定の階級の人(筆者注:白人を指す)にとてもひどい扱いをしている」
「重大な人権侵害が起きている」
「米国は人種差別で財産を奪われるヨーロッパ系難民(主にオランダ系)を受け入れる用意がある」
「また南アフリカ政府は、(米国の同盟国である)イスラエルのパレスチナガザ地区への攻撃を集団虐殺として国際刑事裁判所に提訴した」
「南アフリカ政府は(米国の敵対国である)イランとの関係を深めていることも援助停止の理由だ」
(Trump says some white South Africans are oppressed and could be resettled in the US. They say no thanks | AP News)
南ア、1月に白人追い出しの土地収用法制定
不法移民強制送還、一部連邦政府機関の解体、反トランプ派官僚たちの解雇、さらには貿易不均衡相手国に対する関税とその脅し、ウクライナ戦争停戦・終結をめぐる仲介交渉などの外交懸案で大忙しの最中、なぜG20の南アフリカにいちゃもんをつけたのか。
トランプ氏の藪から棒な一方的な通告の背景には、南アフリカ政府の最近の動きがある。
南アフリカは2025年1月23日、国が土地を公共の目的で収用しやすくなる法律を制定した。
(Misinformation Over South African Land Reform | Human Rights Watch)
アパルトヘイト(人種隔離政策)の時代から、白人と黒人の格差はこの国最大の課題だ。
この法律は、国が少数派の白人から土地を取り上げるのが狙いだというのが欧米各国での一般的な見方だ。
これに対して、南アフリカ政府はトランプ氏の措置にこう反論した。
「新しい法律でも個人の所有権は保護されている。トランプ氏の対応には誤解と曲解が含まれている」
(aljazeera.com/white-victimhood-to-g20-whats-behind-trumps-attacks-on-south-africa)
もっとも、オランダ系を起源とする白人「Afrikaner」らで作る団体「Africa Forum」の代表らは会見で、こう述べている。
「トランプ氏が南アフリカの黒人政権下で白人が置かれている立場に理解を示していることには深く感謝する」
「しかし、米国に移住すればアフリカーナとしての文化的なアイデンティティーを犠牲にしかねない。代償はあまりにも大きい」