なぜか日本を恐れるタルシ・ギャバード国家情報長官(1月30日上院の指名公聴会で、写真:ZUMA Press/アフロ)

医療・医薬・保険の要にケネディ一族異端児

 過去の言動により、民主党から激しい批判を浴びていた「脱藩組」の閣僚候補2人が米上院で人事承認された。

 一人は伝染病対策からメディケア、メディケイドなど公衆衛生・医療・医薬、保険、年金など国民生活の要を押さえる保険福祉省長官に指名されていたロバート・F・ケネディ・ジュニア氏(71)。

 ご存じ、ジョン・F・ケネディ第35代大統領の甥、ロバート・F・ケネディ司法長官の次男(兄弟姉妹10人)だ。

 父親のシニアが暗殺されたことも影響してか、少年期にはマリワナ、ヘロイン常習で逮捕され、懲役刑を受けたこともある。

 弁護士として連邦政府や州政府を向こうに回して環境保護運動に力を注いだ。

 2024年の大統領選では民主党予備選に出馬するが、党内では四面楚歌となり、無所属候補に転じたものの資金難で脱落。

 その直後、ドナルド・トランプ氏支持に転じた(その時にトランプ氏から入閣を約束されていたようだ)。

 ケネディ一族の間では変人扱いされた。

 今回の保健福祉省長官人事では、従妹のキャロライン・ケネディ元駐日大使(ケネディ大統領の長女)が、上院財政、公衆衛生各委員会の面々にジュニアは不適格であるとの書簡を送っていた(それを読み上げてSNSでも流している)。

 書簡ではこう書いている。

「ジュニアは子供の頃、ネズミや鶏をグラインダ―で粉々にして、鷲の餌にしていた。プレデター(捕食者)だった。家族から気味悪がられていた」

Caroline Kennedy warns senators about cousin RFK Jr. | AP News

 上院での人事承認公聴会では、かつて味方だった民主党議員たちからこれまでの発言が取り上げられ、集中砲火を浴びた。

 ケネディ氏はなかなかの雄弁家で、講演やメディアとのインタビューではメディアが飛びつくような発言をしてきた。

一、ワクチンは安全ではないし、効かない。特に子供はワクチンで自閉症になる確率が高い。

二、すべての人工中絶は悲劇だ。私は胎児の命を尊重するプロ・ライフ派だ。妊娠15週から21週の中絶を政府が禁ずるのは妥当だ。

三、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)はナチスの強制収容所のようなものだ。CDCの「犯罪」を無視するのは、カトリック教会で司祭たちが子供を凌辱しているのを見逃すのと同じだ。

四、全米各地で起こっている中学高校の乱射事件は、身体機能抑制薬と関係がある。

五、殺虫剤は子供がトランスジェンダーになることと関係がある。

六、新型コロナウイルスは白人や黒人に感染しやすく、ユダヤ人や中国人はかかりにくい。

 公聴会では、ケネディ氏はこれらの発言について「言った覚えはない」と繰り返していた。

(公職に就いたことがないことが幸いしているのか、何やら日本の国会で証人として召喚された政治家たちが「記憶にございません」と言って逃げ切るのとそっくりだ)