在韓米軍撤収の可能性を暗示

 トランプ氏は、韓国の現状をどう見ているのか。どうしたいのか。逆に韓国はどう出るのか。

 韓国の政治空白については、トランプ氏も閣僚たちも直接コメントはしていない。

 同盟国の内政に言及するのはご法度だし、内政干渉のそしりを免れないからだ。

 それでもJ.D.バンス副大統領とピート・へグセス国防長官が期せずして暗示的に口にしたのは「在韓米軍撤収の可能性」だった。

 1月25日、国防長官就任式でバンス氏はこう述べた。

「トランプ大統領がこれまでの大統領と異なるのは、米国は最も有用なリソース(軍隊)を惜しみながら配置する可能性があるという点だ」

「軍隊をどこかへ派遣する場合、すべてのリソースを投入、迅速に戦い、迅速に米本土に戻すようにしなければならない」

 同日、へグセス氏は、簡単な就任式での挨拶と全米軍兵士にあてたメッセージでこう訓示した。

「私は、グローバル戦略態勢評価をやる」

「米国が最優先に考えることは、米国本土を守ることで抑止力を再確立することだ」

「インド太平洋の同盟国と協力して中国の軍事的脅威の増強に対処する」

Secretary of Defense Pete Hegseth Begins 'Most Important Deployment of My Life' Defense Department News

Secretary Hegseth's Message to the Force > U.S. Department of Defense 

 2人の発言をつなぎ合わせると、「トランプ氏は在韓米軍撤退も検討するという考えだが、これはビジネスマン・トランプ氏の交渉方式だ」(元駐日大使でトランプ氏の側近、ビル・ハガティ上院議員)という。

 どうやらトランプ氏の腹のうちが見えてくる。

「政治混乱の韓国で出現しそうな左翼政権は米国離れ、対中接近を目論んでいる」

「その芽を摘もうとする揺さぶりとして、米軍撤収の選択肢をそれとなくちらつかせている。韓国世論に対するトランプ流の脅しだ」

 こう見るワシントンのアジア外交筋もいる。